タクミ道場 佐藤 匠 代表 (TAKUMI SATO)
2004年極真空手家としてプロデビュー。世界各地を転戦し格闘技世界一決定戦(K-1)選手としても活躍。その後、サラリーマンとして一般企業に勤務。2013年ブラジリアン柔術に入門。2018年「タクミ道場」を設立、現在に至る。2023年ブラジリアン柔術黒帯を取得。SJJIF WORLD黒帯マスター世界チャンピオン。
めちゃくちゃ頑張ったことは「形」になる

もともと格闘技が好きで、幼い頃はプロレス好き。長州力さんのファンでした。中学時代は野球をしていたのですが、何となく違うな、と思っていたときに友人から、極真空手家で世界チャンピオンの八巻建志さんの自伝 『光輝の拳―八巻建志自伝』を勧められて読み、ぐっと胸を捕まれましたね。
自分も(格闘技を)やってみたい。(個人競技の)新しい世界に飛び込んでみたい。そう考えて、格闘技を始めました。
根拠のない無敵な自信がありましたが、所詮は子ども。鼻を折られた時期もあります。悔しくて負けたくない、という我武者羅な思い、そして何より同じ道場にいた先輩方との出会い、ちょっとしたことを教えて貰ったり、年齢差のある関係ゆえに可愛がって貰ったり…居心地が良かったんですね。
その後、K1のプロを引退して、サラリーマンも経験しました。安穏とした毎日の中で、やっぱり格闘技のことが忘れられない。めちゃくちゃ頑張ったことを形にしたいと発起して道場を立ち上げました。
格闘技は基本があってこそ
技術は基本、基本はしっかり学び習得させます。
格闘技の技術には「基本」が最も需要です。例えば、安定した構えは攻撃や防御の土台になります。パンチやキックに威力を持たせるために体重移動などの身体の使い方も基本動作のひとつです。他にも足さばきや防御の動作…を何度も反復練習することで、身体が自然に動くまで落とし込むことが大切なのです。
この基本動作が身についていれば、応用技と言えるテクニックは、今の時代YouTubeなどでも視聴できる。格好良い技に目を奪われてしまいがちですが、盤石な基本技術が出来てないと、怪我の畏れもありますし、第一長く続けられません。
「格闘技」をライフワークに

例えば、習字の「字」が上手い人と下手な人との差はなんでしょう。
わたしが思うに、それは「精度」の差ではないでしょうか。
どれだけ「真」の形に近い度合いを上げるか…最も一般的な方法は同じ作業を繰り返すこと。反復練習による習熟です。
打撃系の格闘技(空手やキックボクシングなど)はパンチやキック(肘打ち、膝蹴り)などの打撃技で相手にダメージを与え勝敗を決めるものですが、凄くシンプルに言ってしまえば、上手な人と初心の人との差はその「精度」の差なのです。つまり、繰り返しの同じ作業をひたすら続けること。わたしの経験からすれば、精度を上げるだけの練習は苦痛しかない。「痩せるため」「健康のため」のきっかけだけでは、なかなか続かないものです。
それらに比べて、柔術は(根本的なルールはあるが)技がめちゃくちゃたくさんあるので、練習に来ても学ぶことがたくさんあります。
例えばグリップやポジショニング、技を掛ける角度とアングル、意識の仕方など…。
違うテクニックをやりながら、基本のルールをなぞるので、飽きずに修練を積むことが出来るでしょう。
加えて、柔術は年齢、体重、帯別に分け、実力的には拮抗した試合をおこなうため、ある程度の経験があれば試合にも参加しやすいのです。
挨拶や礼儀など、特に厳しい指導はしていませんが、周りの先輩たちを見て、ごく自然に身についているように思います。
集中して練習するとき以外は、和気藹々としたムードで練習生もわたしも毎日楽しんでいますね。
「痩せたい」「体脂肪を減らしたい」目的が通っているうちに変わり、「上手くなりたい」と思ってくれたらとても嬉しいですね。
競技が好きになってくれたら、ライフワークとして続いていくのではないでしょうか。
「格闘技」を暮らしの中に取り入れてライフワークとなったなら、人生に広がりがあるかもしれません。そうなってくれたら、指導者としてとても嬉しいです。
「ブラジリアン柔術」の魅力
「タクミ道場」は、空手、キックボクシング、ブラジリアン柔術などの格闘技ジムですが、現在わたしのイチオシは柔術(ブラジリアン柔術)ですね。
打撃中心の格闘技は、見て分かりやすく、形は見よう見まねで何となく出来てしまう。
柔術は相手と組み合うことから始まり、寝技での攻防に重点が置かれています。相手を打ち負かす、というよりは地面に引き込んでから有利なポジションを奪うことを目指します。
相手の力に正面からぶつかるのではなく、その力を利用して「技」を掛ける。つまり、自分よりも身体が大きく、力の強い相手でも、柔術の「技」を使えば勝てるチャンスがあるのです。力の弱い者が体格も異なり力の強い者を倒すことが出来る、それが他の格闘技とは異なる点であり、柔術の最大の魅力でしょう。
パンチやキックなどの打撃技がないので、顔や頭を殴られる心配がなく、女性も挑戦しやすい格闘技であると思います。現に護身術として習う方も増えているようです。
関節技や絞め技によって、相手を無力化することが出来、相手の動きを完全に封じ込める。
柔術の面白さは、たくさんの技を組み合わせた連続技(コンビネーション)にあります。たくさんの技を駆使して、戦略的に勝利する醍醐味。この魅力をたくさんの人に知って貰いたいですね。
見た目は華やかな競技ではないかもしれませんが、実際に挑んでみればその面白さに引き込まれます。体格や筋力の差を、技術で埋めるので、例えば女性でも年齢を重ねていても、相手を上回ることが出来るのです。
更に、柔術の会員さん同士は仲良くなりやすいのもポイントですね。お互いが教え合い、コミュニケーションが増える競技です。
人生のサードプレイスでありたい
格闘技のジムはひと頃より随分増えてきたように思います。たくさんの方に興味を持ってもらえるのは純粋に嬉しいですね。競技に挑戦したい人、痩せるためや運動習慣をつけたい人、礼儀作法を身につけたい人…さまざまな目的があると思います。
社会人になって、会社と家との往復の毎日の中に「タクミ道場」があると、他にはない人間関係が出来るでしょう。格闘技や柔術がコミュニケーションツールとなり、これまでにないコミュニティの中で、マインドの持ち方も変わってくると思います。
例えば「落ち着きがないから」、と保護者の方に連れられて空手を習いに来たお子さんは、稽古を重ねるうちに本気でぶつかり合うことを学び、指導者(わたし)の話を集中して聞く姿勢を会得しました。年齢や性別を超えて、多くの人と出会い、挨拶や礼儀作法を自然と身につけられたことは、その子にとって一生ものの財産になると思います。
学校や会社とは異なった、サードプレイスでありたい。「タクミ道場」は、格闘技や柔術を介したコミュニティでありたいと考えています。人生が変わる体験を、ひとりでも多くの方に知って頂けたら嬉しいです。
※上記記事は2025年8月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

タクミ道場 佐藤 匠 代表 (TAKUMI SATO)
タクミ道場 佐藤 匠 代表 (TAKUMI SATO)
- 出身地:横浜市
- 趣味:柔術(ブラジリアン柔術)
- 好きなドラマ・映画:ドキュメンタリー
- 好きな場所:名古屋(ご飯が美味しい)
- 好きな言葉:「我慢」

