老川 文枝 オーナー(花しん)のインタビュー

花しん 老川 文枝 オーナー

花しん 老川 文枝 オーナー (OIKAWA FUMIE)

浅草の日本料理店で修行した後、藤沢の料理店でチーフ業を学ぶ。23歳で保土ケ谷区上星川で「花しん」を開業、現在に至る。

好きな道を探求し続けたい

自分自身で何かをしたい、と思ったときに一番に考えたのは飲食店でした。
わたし自身、食べることが好きだったこと、そしてそのことについてなら探求するのも苦ではないと思ったのです。
向島で産まれ、浅草で育ちました。周りは、鰻、天ぷら、すき焼き…などの日本料理店が多かった。しかも老舗とか、有名店ばかり。
最初の修行先が浅草でした。日本料理店での礎、根底があるので、鰻と天ぷらを中心とした日本料理のお店にしようと決めましたね。
鰻を扱いたいと思ったのは、もうひとつ理由があります。
成田山新勝寺沿道は、利根川水系・印旛沼で鰻が捕れるため、たくさんの鰻屋さんが軒を並べているのですが、その中に女性の鰻職人がいらしたんですね。女性の職人さんが、軒先で鮮やかに鰻を捌いている姿…格好良かったですね。
もともと好きだった鰻を、女性の職人さんが捌いている姿に感銘して、鰻を扱う日本料理店にしようと心が決まりました。
常連のお客さまが毎日来て頂けるように、焼き鳥やお浸しなどのお惣菜の品数も増え、家庭料理も充実するようになりました。

板前としての責任と矜持

飲食事業者として、一番に心掛けていることは衛生面ですね。
お客さまの口に入るものは、絶対に安全で、かつ安心して召し上がって頂けるものでなければいけません。
細心の注意を払っていますが、念のため…というよりもわたしの料理人としての気持ちかな。お客さまの口に入る前に、まず自身の口に入れて、身を持って安全を確かめます。
調理者としての責任であり、矜持です。
もうひとつは、「良い食材」を選ぶことです。
本物の食材、厳選食材の仕入れに拘り、鮮度に拘る。
卸市場にも行きますし、名産地に足を運ぶことも厭いません。
遠方の特産物は、ネットを駆使してお取り寄せしたりと、食材選びは納得するまで吟味を重ねますね。

自らの舌で納得したものを、お客さまに

自分の舌で確かめて、信じて、自信のあるものをお客さまに提供すること。50年を超える長きに渡り、ここ上星川で女将として、板場を預かる調理人として、「花しん」の暖簾を守ってきた、わたしの方針ですね。
お客さまに、とびきり美味しいもの、そして身体にも良いものをお出ししたい。
厳選素材や鮮度の良いものを使うことは勿論ですが、それに加えて長年の勘…経験ですね。食材にはそれぞれ「旬」がありますし、季節のものが味も良い。お若いときには鰻重を召し上がり、更におにぎりをもご所望になった方でも、現在ではそれほど召し上がれません。
けれど、美味しい天ぷらが食べたいと注文されれば、海老の一尾、なすの一切れだって良いんです。
身体に負担なく、美味しく、満足して頂けることが、最大の喜びですね。
お客さまのリクエストにより、鰻や天ぷらだけでなく、焼き鳥やお浸しなどメニューも増えましたね。鶏の挽肉を二度挽きしたツクネも評判が良いんですよ。
長年の経験を活かして、お客さまのニーズに合わせ、変化できる柔らかさ。頑固さも大切ですが、時代に即した適応力と柔軟性、融通性も、重要だと思っています。

最良の素材を、そのとき最も良い調理法で

お客さまに召し上がって頂くものは、最良のものでありたい。その為には、産地を変えることもあります。
例えば「花しん」名物の鰻。浜名湖産や静岡・焼津のものから、現在は九州、宮崎の鰻を使っています。
1カ所の産地に拘らず、より品質の良いものを求めて。目利きし、臨機応変に対応するのも必要ですね。
鰻の捌き方も、お客さまの好みに合わせて、関東風の蒸し(と焼き)でも関西風(直焼き)でも対応できます。
ただ、2~3月の鰻に関しては(身が柔らかいので)、一度蒸すことをせずに、関西風の直焼きがお勧めです。
鰻のたれも、みりんと醤油をつぎ足し継ぎ足しした50年ものですが、これも季節に合わせて微妙に変化させます。
醤油を「かわせるか」、味醂を「かわせるか」。甘み、塩み、旨みの絶妙なバランスが、日本料理の醍醐味だと思います。
この他にも、北海道のししゃも。鵡川産のホンモノのししゃもです。市場でも扱いが少なくなった泥鰌は、ネットで取り寄せています。
口に入るものには細心の注意を払う。「花しん」の気概ですね。
病院食は身体に良いものだけれど、美味しいかと問われれば、そうでもない。美味しくて身体に良いもの、それを「花しん」でお出ししたい。
塩分を制限されている方には、控えめにした美味しい食事を提供し、量を控えている方には、分量もお好みに合わせます。
身体に優しくて、材料も、お金も無駄にならない。お客さまに合わせて、臨機応変に融通します。
ご希望とお好みに応えて行くのが、「花しん」の使命じゃないかと考えています。

極上の日本料理をこれから先も

この地で「花しん」の暖簾を掲げて50年。
これから先も、細く長く地に足をつけて、出来るだけ長く、自慢の味を届けたい。
わたし自身、食べることが大好きです。研究熱心なので、良いものはどんどん取り入れて、メニューに加えたりもしています。
近ごろは、二度挽きした鶏ミンチ(三種ぐらいの鶏肉を合わせて)のつくね(焼き鳥)も人気メニュー。隠し味には、白味噌を使っています。
お客さんのニーズに応えて臨機応変に対応出来る懐の深さも持ちつつ、「鰻」・「天ぷら」を中心にした、極上の日本料理を心ゆくまで楽しんで頂きたいですね。

 

※上記記事は2025年6月に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

花しん 老川 文枝 オーナー (OIKAWA FUMIE)

花しん 老川 文枝 オーナー (OIKAWA FUMIE)

  • 出身地:東京都墨田区(向島)
  • 趣味:雨垂れ三味線(細棹)、民謡、食べ歩き
  • 好きなドラマ:刑事ドラマ(「あんみつ検事」、「科捜研の女」など)
  • 好きな言葉:「絆」・「縁」

INFORMATION

花しん

電話 045-381-1846
所在地上星川1-2-1
最寄駅上星川駅 徒歩1分、和田町駅 徒歩11分、羽沢横浜国大駅 約1.9km
営業時間15:00~22:00
定休日日曜日
ジャンル 和食