ぎんがむら保育園 望月 聖子 代表/園長 (SEIKO MOCHIZUKI)
『東洋英和女学院短期大学保育科』で保育を学び、都内キリスト教主義幼稚園で6年間勤務。その後、家庭の事情から自宅で家庭保育園を開始し、約20年前にぎんがむら子育て支援ひろばを設立。小田原と保土ケ谷を起点に現在約10数箇所を展開し今に至る。(相鉄本線上星川駅 徒歩3分)
自宅保育園から始まった、20年の歩み

『東洋英和女学院短期大学保育科』で保育を学び、都内のキリスト教主義の幼稚園で丸6年間働きました。その後、家庭の事情で家庭保育園を開始。朝7時から夜11時まで年間50名ほどの登録者があり、忙しく過ごしていました。そんな中一人では色々と安全面でも不安があったので、近場で家庭保育園をやっているメンバーとぎんがむら子育て支援ひろばを作りました。保育士だけでなく、看護師やデザイナーなど、いろんな人たちで子どもたちを預かり、楽しい場を作ろうというのが最初の行動でした。そこから発展して、約20年が経ちます。経営が厳しい時期もありましたが、「潰したくない」という思いで、都内の幼稚園と二足のわらじで働きながら乗り越えました。
最初は子育て支援に重きを置いていましたが、待機児童解消の流れの中で、子どもたちにとっていい場所を作りたいと考え、小規模でも質の高い保育を表現できる場を展開しました。現在は小田原と保土ケ谷を起点に約10数箇所展開しており、『ぎんがむら保育園』は2018年開園で8年目になります。
私は幼い頃より、小さな子のお世話をするのが大好きだったのですが、それが今につながり、みなさんと関係が繋がってることをとてもありがたく思っています。
「自分がまずやってみる」働く上でのモットー
私の働く上でのモットーは、何でも始める時には自分がまずやってみるということです。自分にできないことを人にやってもらうというのは、やっぱりフェアじゃないなと思っていて。人が嫌がるような仕事、例えば片付けや床の掃除なども、「やって」という前に自分がやって、それを見た人が「じゃあ私やります」と率先してくれるようなスタンスでいたいんです。自分がやって見せないと、「やらないで言うばっかりだよね」という風になってしまうのがきっと嫌なんですね。自分が行動して、それで賛同してもらえるなら、ついてきてほしい。そういう思いで日々取り組んでいます。
大人も子どもも隔てなく、一人ひとりの気持ちに寄り添う保育

子どもに対しては、必ず目線を合わせることを大切にしています。その子の気持ちを一番大事にしたいんです。黙ってずっと隅の方にいたい子にも、気持ちを合わせるような形のコミュニケーションをとって、無理やりこっち来なさいとか、無理やり食べなさいということはしません。事象には必ず何か理由があると信じて、何が今この行動を裏付けているのかを大事にするよう心がけています。0歳でも生まれた時から大事な人格が必ず備わっているので、そこに変な手を加えない。真摯に大切にする、ということを心がけているんです。
園の方針としては、とにかく子ども一人ひとりの気持ちに寄り添うこと。そこには親御さんの気持ちにも寄り添うことが含まれます。子どもを真ん中に、親御さんと私たちが手を組まなくちゃいけないと考えているんです。そこで親御さんが言いやすい環境づくりを大切にしていて、何か一つでも気になることがあったら、今でも後でもいいから教えてくださいと伝えています。例えば、親御さんから「カバンにつけている名札を外から見えないようにしてほしい」という意見が出たことがありました。
園ではそれまでカバンには名札をつけてもらっていたのですが、親の目線が抜け落ちていたなと思い、スタッフ間で話し合い、すぐに変えて改善する。小さい園だからできることでもありますが、意見にしっかりと耳を傾けて、実行に移すことを大事にしています。それを変えるということは、「言ったらちゃんと分かってもらえるんだ」という信頼関係につながるんです。大人が歩み寄る姿を子どもが見ています。そういう小さなことの積み重ねが大事だということを先生たちにも分かるようにして、すぐにチェンジしていく姿を親御さんにも見せたいと思っているんです。
印象的だったエピソードとして、集団に入ってお子さんの動きが他のお子さんとちょっと違う…何でだろうと心配を抱いた親御さんへの対応があります。イベントで疎外感を感じたという親御さんのサインを受け止め、「それは辛かったね、ごめんなさいね。話してくれてありがとうね。どうしたらよいか考えますね」と話をしました。その上で、園としてイベントをなくすのではなく、その子の成長を具体的にもっと頻繁に伝えるよう工夫したのです。保育の仕方を親御さんと一緒に考えていけることが、私たち保育者としての成長にもつながりました。もう一つは、外国籍のお子さんへの対応です。言葉の壁があり、「トイレに行きたい」とか「お腹空いた」とか、基本的な要求を伝えたいのに言えない状況でした。その子の母国語での単語をペタペタ壁に貼って、その子が知っている言葉をみんなが使って、自分たちが目線を合わせていきました。親も安心し、子どもも共感を得られた喜びで表情がパッと変わるんです。今は外国人が当たり前にいる日本なので、そういう体験は大事だなと感じています。
食育を大切にした保育環境と多様な働き方へのサポート
ここは商店街の方から声掛けがあって開園できました。以前は野菜や自然食品を売っているお店だったんです。当園では調理場を売りにしています。食べ物が隅っこで作られるよりは、香りも出るし、見える形がいいと思っていて。登園してきた親子とパッと目が合うのが調理場なんです。私たちは食育を大切にしているので、食べ物は身体の基本だし、いいものを口に入れてほしいと思っています。開業当初から必ず出汁を取っています。カツオ節と昆布で、お味噌汁や煮物は全部出汁を取ってやるんです。調味料から大事にしていることをずっと貫いているんですね。献立は管理栄養士が監修していて、上星川と小田原の園で毎回手作り。見えるところでご飯を作っているのは、子どもにとって興味の対象で、五感が刺激されます。親御さんも朝入ってきた時に良い匂いがあると安心してくださるんです。
園は365日開園していて、土日祝、年末年始、お盆の日も開園しているので、看護師さんや保育士さん、飲食店や自営業など、時間や曜日を問わない職業についている方も多く利用されています。子育てがあるからといって職業を断念したくないという人たちも増えてきていますから、そうした方々をサポートできればと考えています。
地域とともに歩む保育園として
小さい時の記憶は強烈に残ります。心を成長させる時期は非常に大事だと思うんです。不適切保育などにより、人間不信や集団に入ることの怖さ、トラウマを感じてしまう子どももいます。そういう体験をしてもらいたくないという想いがすごくあるんです。採用の時は、心根の優しさが第一条件で、技能よりも、心が本当に子どもに向かっているかを見たいと思っています。働く環境が整っていないと、そうしたくても力が発揮できなくなってしまいますから、環境を整えることが大切だと考えているんです。今後の目標としては、今は0歳から2歳の子どもたちを預かっていますが、できればこの方針でやってきたことを就学前の3・4・5歳の保育につなげたいと思っています。0歳から就学前まで一貫した方針で預かりができるような場所ができたらいいなと考えているんです。
また当園では商店街との連携を大切にしています。商店街の方たちが、ぎんがむらの子どもたち、そして先生たちを包んでくれている、パートナーでもあります。今後は、私たちも商店街にとって力になれるような関係性ができたらいいなと思います。いろんなことを一緒に味わう中で、人間関係ができると感じていますので、これからも一緒に歩んでいきたいんです。もちろん、子どもが好きな人たちばかりじゃないということも理解しています。子どもの泣き声などが気になる方もいらっしゃると思いますが、子どもは必ず一日一日成長していくので、とにかく信じて、みんなの地域の宝として見守ってほしいですね。近隣の意見も聞きながら、対話をしながら運営していきたいと考えています。
近隣の方に「ぎんがむらの皆さんは散歩すると必ず気持ちよく挨拶してくれる」と言っていただいています。先生たちが私が大事にしていることを率先してやって、子どもたちもそれを見て穏やかに挨拶するという相乗効果でいい展開ができているのかなと感じています。多分保土ケ谷区内で一番小さな園だと思うんです。でも、目指すのは本当にあたたかい、「また立ち寄りたいな」と思ってもらえる場所。何かあった時にちょっと困っているということを言ってもらえれば、何かでつながっていける、そういうシェルターのような場所になればいいと思っています。
※上記記事は2025年10月に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

ぎんがむら保育園 望月 聖子 代表/園長 (SEIKO MOCHIZUKI)
ぎんがむら保育園 望月 聖子 代表/園長 (SEIKO MOCHIZUKI)
- 出身地:横浜市
- 趣味:旅行、花育、雑貨、かんたんな料理(笑)
- 好きな場所:北海道、九州、沖縄、台湾、ハワイ、イタリアと家(自宅)
- 好きな音楽:松田聖子さん、SEKAI NO OWARIさん、Back numberさん、佐野元春さん
- 好きな言葉:継続は力なり

