長嶋パブリシティ合同会社 長嶋 一憲 代表 (Kazunori Nagashima)
神奈川県横浜市出身。舞台美術を手掛ける会社で大道具として勤務。その後、フォトグラファーに転身。現在は、写真のみならず動画やグラフィックデザインなど、広告制作全般で活動。
大道具職人からフォトグラファーへ

もともと歌舞伎座の舞台美術を手がける会社で、大道具として働いていました。それまではマレーシアで2年間ほど日本語教師をやっていたんですけど、海外の方に日本文化について聞かれてもほとんど答えられず、日本文化を知りたい、身体を動かす仕事がしたいと思っていたときに大道具の求人を見つけて応募。当時は、それが自分の天職、一生の仕事だと思って打ち込んでいました。そんななか、役者さんの撮影をするために月に何度か歌舞伎座にいらしていた篠山紀信さんが、歌舞伎座の表方も裏方もすべて撮影した写真集を作りたいとおっしゃって。私も1カット、撮っていただいたんです。薄暗い階段を下りていくようなシーンで、こんな暗いところで大丈夫かなと思ったんですけど、その1枚が本当に素晴らしかったんですね。こんな世界があるのか、と感動して次のボーナス全額使ってプロ仕様のカメラを買いました。最初から“作品”として写真を撮り始め、それを雑誌に持ち込むように。だんだんと自分の表現を仕事にしたいという想いが強くなり、歌舞伎座の仕事を辞めて独立。写真家としての道を歩み始めました。
写真から広がった、ものづくりの仕事
現在は長嶋パブリシティ合同会社の代表として、写真だけではなく、広告制作全般に携わっています。きっかけは、クライアントさんから「写真だけじゃなくてデザインもお願いできる?」という声をいただいたこと。それからは撮影、デザイン、編集、印刷入稿まで、全部一人で引き受けるようになりました。最初は戸惑いもありましたが、お客様の要望に応えていくうちに「まとめてお願いできて助かる」と言っていただけるように。やがて法人化しました。今は、“写真が得意なグラフィックデザイン会社”として、企業や店舗の広告制作をお手伝いしています。ヒアリングから始めて、お客様の気づいていない魅力を引き出し、どう表現すれば一番伝わるかを常に考えながら仕事に取り組んでいます。
伝えるのは、モノの魅力ではなく“想い”

私が大事にしているのは、「モノの魅力」以上に、そのモノを作っている人たちの“想い”や“スピリット”。企業や商品のブランディングというのは、表層的なものではなく、その奥にある想いや背景をくみ取り、それを表現することだと思っています。だからこそ、最初のヒアリングではとにかく深く話を聞くことを心がけています。そのなかから「この会社はこういうことを大事にしているんだな」「こう見せるともっと伝わるんじゃないか」と感じ取って、アウトプットに活かしています。写真一枚、デザイン一つが、人の心に届くためには、ただキレイに整えるだけでは足りません。相手の中にある“言葉にならない部分”をどう形にできるか。それを常に意識しています。
都会と下町の狭間にある文化的な空気
写真家として活動を始めたころから、横浜というのはロケーション的に非常に都合がいい場所だなと思うようになりました。出身地というのもありますが、それ以上に横浜には独特の“抜けの良さ”があるんですよね。空が高く、丘の上から海が見える。そんな風景が、創作にぴったりだなと。それと同時に、東京に拠点を置かない生き方、働き方というものにも魅力を感じていたんですね。例えば、ドイツの写真家が全員ベルリンにいるかと言えば、そうではない。ローカライズする意味というのは、どこかしら利点があるんだろうなと考えるように。今住んでいる天王町も、引っ越してきてから3年半ほどになりますが、以前住んでいた野毛山エリアとはまた違った文化がありますね。商店街を歩いているだけで何だか元気になれるし、「自分も商売したい!」なんて気持ちにもなるほどです。この街で暮らすようになってから“地域とともにある暮らし”の心地よさを実感するようになりました。
写真を通じたコミュニティへの貢献
天王町に来てから、商店街の活気に惹かれて、昨年から商店街の会員にもなりました。入会後すぐに、地域のコミュニティセンターで「一日写真館」というイベントも開催。16組24名の方に来ていただき、スタジオセットを組んで本格的なポートレート撮影を行いました。想像以上に、いろんな方が撮影に来てくれて、本当に嬉しかったです。普段は写真館に行くことがない方にも安価で本格的な撮影が体験できるということで、地域の方々に喜んでいただけたのかなと。この街の一員として、何かしらビジュアルの分野で地域に貢献できたらと思っています。お題に対してアイデアを出し、それを実現するのは得意分野ですから。「お店の見せ方を変えたい」「もっと魅力を伝えたい」——そんなお悩みがあれば、ぜひ声をかけてください。きっと、力になれることがあると思っています。
※上記記事は2025年4月に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

長嶋パブリシティ合同会社 長嶋 一憲 代表 (Kazunori Nagashima)
長嶋パブリシティ合同会社 長嶋 一憲 代表 (Kazunori Nagashima)
- 出身地:神奈川県横浜市
- 趣味・特技:ミシン
- よく読む本・愛読書:幸田露伴、吉村昭、泉鏡花
- 好きな映画:ヴィム・ヴェンダース「さすらい」、田中徳三「座頭市」
- 好きな言葉:一石二鳥
- 好きな音楽:プリンスとバッハ
- 好きな場所:横浜

