浜歯科医院 浜 いつ子 院長 (ITSUKO HAMA)
神奈川歯科大学卒業の後、昭和大学歯学部補綴科にて臨床研修を終え、日本大学歯学部解剖学教室・解剖学学位取得。浜歯科医院に勤務、現在に至る。
この道は、生活そのもの

幼かった頃、学校から帰って来ると、ここ(「浜歯科医院」)に来ていました。父が居て、母も手伝っていましたから、自宅ではないのですが、「帰ってくる」場所でしたね。父はもちろん、祖父も叔父も歯科医師です。だから、歯科医師という仕事は常に身近にありましたし、生活そのもの、と言えたかもしれません。
父が患者さんに施す治療を間近で見て、患者さんとの会話やふれ合いを聞いて、いつか自分自身もそうなるのかなぁ、と考えていました。でも、高校生の頃は医師も良いのでは、と迷った時期もありました。どちらにせよ、医療を通じて、人の営みを支えたい、役に立ちたいという強い気持ちがありました。
実際に歯科医師になって、日々、患者さんと向き合っていますと、祖父から面々と続いた生業を続けることの意義も感じています。
地域に根ざした歯科医師であること
地域に根ざした、歯科医院であること。その願いも含めて、父から受け継いだものを大切に守っていきたいと思っています。
母方の祖父は軍医で、満州から引き上げて来た後に、ここ菊名で開業したそうです。おそらくこの地域で、一番長く開業している歯科医院かもしれません。
そうした所以か、患者さんも家族代々、長く通って来てくださっている方がとても多くいらっしゃいます。
すると、お口の状態も良く分かりますし、些細な変化も見落とさずにいられます。ご高齢になられて、もしも病気になられた場合でも、バックグラウンドが分かっていますので、こと細かくフォロー出来ることが、最大の利点ですね。
例えば、前回の定期健診でいらしたときには、饒舌でいらしたのに、今月は言葉がはっきりしない、たどたどしい、予約された日にちや時間が分からない、診察室のドアを開けられない、足を引きずっていらっしゃる、などですね。
服装の乱れは…と子ども時分に叱られた世代ですが、(これまでは出来ていた方が)身なりを構われなくなったり、お口の中をキレイに出来ていなかったりすれば、要注意です。
ゲートキーパーとしての役割

MCI(マイルド・コグニティブ・インペアメント:軽度認知障害)という言葉を近ごろよく耳にします。これは、認知機能が低下している状態ですが、日常生活には大きな支障が出ていない、認知症ではない段階を指します。 一般に、記憶や判断力、集中力などの低下が見られ、認知症とは異なり、必ずしも生活全般に支障をきたすわけではありません。ただ、MCIを放置していると、認知機能の低下が続き、以後の5年間で約40%の人は、認知症へとステージが進行することになります。
人は誰しもが年齢を重ね、老いてゆきます。健康でいたい、元気に過ごしたいのは万民の願いですが、もしもそうなった場合は、速やかに専門医の診断を受けることで、進行を遅らせることが可能になります。
最も大切な「気づき」。歯科医師はお口の中だけを診ているのではありません。口腔内から透けて見えてくる全身の健康状態をキャッチして、どうすれば最も健やかに安心してお過ごしいただけるかを、一緒に考えていきます。診察室から、たくさんの患者さんを診てきた経験があるからこそ、「ゲートキーパー」の役割を担えるのではないか、と考えています。
変わってはいけない心意気
歯科医とは、ただ「痛い」だけを診ているのではありません。その痛みが、歯から来る症状なのか、顎が痛いのは「おしゃぶり昆布」を一袋食べ続けたゆえの痛みなのか、理由をきちんと尋ねないと原因を探り当て、取り除くことが出来ません。
その場の患者さんだけでなく、背景をも考えてこその歯科治療である。時代は変わりますが、変わってはいけない心意気を繋げています。
人間誰しもが年齢を重ねます。白髪が出てきてしまうのと同じように、加齢は止められません。若かりし頃と違って、歯茎はどんどん痩せ始め、徐々に下がっていきます。放っておけば、歯周病になるリスクは皆さん同等にあります。ご存じのように、歯周病は歯垢・プラークと呼ばれる最近の塊が、不十分な歯磨きで磨き残されたことで増殖し、歯と歯茎の間に炎症を引き起こします。適切な治療を受けなければ、歯を支えている骨や歯茎が溶けていく病気です。更には炎症によって毒性物質を発生させ、歯肉の血管から全身に入り血糖値を下げるインスリンの働きを悪くさせたり(糖尿病)、血管の動脈硬化(心筋梗塞・脳梗塞)、誤嚥性肺炎にも深く関与しています。
もうひとつの懸念は、根面カリエス(根面う蝕)です。
ご高齢の方にとって、今1番の課題と言っても過言ではないかもしれません。根面カリエスとは、聞き慣れない言葉ですが、これは、歯の根元(歯根)に出来る虫歯です。歯の根は歯茎に覆われているため、虫歯になりにくいとされていますが、ご高齢の方や歯周病が進んでしまった方など、歯茎が下がって歯根が露出してしまうと、虫歯になりやすいのです。歯冠部は、エナメル質ですが、歯槽骨を密着させている歯根はエナメル質でなく象牙質・セメント質ですので、酸に弱く、気がついたときには虫歯が進行しており、治すことが困難です。これを放っておくと、歯は根っこから折れてしまい、折れてしまった歯は、戻すことが不可能です。これらは、カリエスチェックで、早期に診断、治療をすれば抜歯のリスクは減らせるでしょう。
かかりつけの歯科医師や医師がいれば、お困りごとが発生したときにも、迅速に対応することが出来ます。
みなさんとの繋がりを大切に
お口は、全身の健康状態を顕著に表す入り口ですから、決して疎かにせず関心を持って下さい。何よりも大切なことは、「予防」と「早期治療」です。
歯科医は患者さんの健康状態を一番に知ることの出来る、といっても過言ではない立場だと思います。口腔内の状態だけでなく、全身疾患(病気)のゲートキーパーです。察知する役割があるのです。
出来れば、1ヶ月に1回くらいを目安に、ちょっとしたご心配ごと…例えば、歯の調子を確認する、歯茎の下がり具合を検査する、正しいブラッシングが行えているかお尋ねにいらしていただいて、「つながり」を持っていただけましたら、幸いです。
「浜歯科医院」は長きに渡り地域に密着し、常に患者さんに寄り添う姿勢を忘れずに、これまでも、これからも共に歩んで行きたいと願っています。
※上記記事は2024年12月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

浜歯科医院 浜 いつ子 院長 (ITSUKO HAMA)
浜歯科医院 浜 いつ子 院長 (ITSUKO HAMA)
- 出身地:横浜市
- 趣味:フラワーアレンジメント、料理(調理師免許取得)、お菓子作り、車の運転
- 好きな場所:診療室、海
- 好きな映画:「マトリックス」ほか、アクションもの

