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五十嵐 眞一 院長(獣医学博士)(新横浜動物医療センター)のインタビュー

新横浜動物医療センター 五十嵐 眞一 院長(獣医学博士)

新横浜動物医療センター 五十嵐 眞一 院長(獣医学博士) (SHINICHI IGARASHI)

麻布獣医科大学、獣医学部卒業の後、大手製薬メーカー主任研究員、生物資源研究センター長などを歴任し、2005年三ツ池動物病院を開院し、院長に就任。2016年、分院として新横浜医療センター、2022年三崎動物愛護病院、動物保護施設「三崎動物保護センター」をそれぞれ開院し、院長に就任。現在に至る。

尊い命を守りたい

金魚もコオロギも、カマキリも、ライオンだってひとつの生命。そう、わたし達と同じ、ひとつきりの尊い生命です。小学生の頃、自宅の池に泳いでいた金魚を捕まえて人工繁殖させたことがありました。ほかにも、揚羽蝶やコオロギ、カマキリの卵を自室で孵化させたりしていました。小さい頃から「生き物」に興味がありました。生きているって不思議なことですよね。生まれながらにして生きているから、当たり前のような顔をして、こうして暮らしているけれど、生命自体、なにものにも代えがたい、神秘です。そんな「生命」の不思議に魅せられ、当初は生物学者になろうと考えていました。ところが、中学2年生のとき、美術のデッサンの参考にするために、本屋でヒントになり得るものを探していたところ、「愛犬の友」という雑誌を見つけ、「獣医」の職業を認識しました。もちろん、「獣医」の存在はアタマの中にありましたが、自身が選択する仕事として、適しているかも知れないと考えた初めての瞬間でしたね。「獣医」という職業の可能性を感じ、人生を掛けて全うすべき生業だと、考えるようになりました。犬や猫など、彼らの温もりを感じ、小さな生命のとてつもない尊さを守りたい。生き物と向き合い、人と出会う、そんな感動のある仕事に日々やり甲斐を感じ、毎日を積み重ねてきました。

インフォームドコンセントの徹底

当たり前ですが、動物は言葉を話せません。その点を考えますと、人間の赤ちゃんと同じですね。赤ちゃんと同じように保護者の方が居て下さって、病院に連れてきてくださる。日々、食事を与え、散歩をして、身の回りのお世話をして下さっています。「新横浜動物医療センター」では、それらのことを鑑みて、動物たちも人間の赤ちゃんと同じような位置づけで考えています。飼い主の皆さんは、赤ちゃんを連れてくる保護者、そんな気持ちで接しています。飼い主さんの前で診察をし、飼い主さんも共に見て頂く。検査結果と治療方針を明確に説明して実施する心配する思いを汲み取って、インフォームドコンセントの徹底を心掛けています。言葉を話せない動物たちは、保護者が代弁するより他ありません。わたし達は、飼い主さんの心配を排除し、不安を和らげるためにあるのです。診察室の壁紙にはミッフィーが描かれています。待合室のライトは星形です。トイレの壁紙も可愛らしく、つまりは飼い主さんや動物たちに「寄り添う」姿勢を忘れぬよう、心掛けています。

高齢化社会におけるペットの役割り

人間社会において高齢化社会と言われて久しい日本ですが、高齢者にとってペットの役割は大きいと思います。以下に高齢者がペットを飼うメリットについてお話したいと思います。
・ペットを飼うことで、認知機能の低下を抑制する
 認知症あるいはフレイル(要介護状態に陥る前段階)のリスクを軽減することが明らかとなっています。
 特に、犬を飼っている人は、そうでない人に比べて認知症発症リスクが約4割軽減することが2023年に谷口優先生らにより報告されています。
・社会性を構築する
 散歩や動物病院への受診など、動物を介して人と接する機会が増える
・運動量の増加に伴う、健康維持
 特に犬の場合は、朝・夕など1日数回の散歩が(犬の健康にとって)必要なため、飼い主は必然的に運動量が多くなる。また、日光にあたり運動量が増えると良質の睡眠を摂取することが出来ます。
・オキシトシン(幸せホルモン)分泌によるリラックスとストレスの緩和
 動物と触れ合うことで、愛情ホルモンと呼ばれる、オキシトシンの分泌が促進されるオキシトシンは、ストレスホルモン(コルチゾール)を抑制し、心拍数や血圧を低下させる効果があります。また、もう一つの幸福ホルモンである「セロトニン」の活性化に繋がり、これによって気分の安定や幸福感が増し、ストレスや不安が軽減されます。その中でも特に「犬」は、人間とのコミュニケーション能力が高く、犬と飼い主が見つめ合うことで、双方のオキシトシン濃度が上昇します。また、飼い主に対して忠実で愛情表現も豊かな点も、特徴と言えるでしょう。しいては医療費や社会保障費などの削減と軽減も期待されています。

以上のことから、高齢者とペットが共存できる社会の実現を願っています。

ペットと再生医療の可能性

我が家の犬や猫も、そして人も段々と年齢を重ねて、身体のあちらこちらに病状が見られるようになります。
毎日、およそ10億個の細胞が入れ替わっているうち、100万個ほど異常をきたした細胞が発生しています。これをBリンパ球が発見し、Tリンパ球が退治し、マクロファジーが掃除する。これは、健康な身体の状態なのですが、免疫力が下がると、見落としが出てしまい、癌化してしまうのです。
免疫力が下がる原因の一つはストレスです。そのストレスを緩和してくれるのは、人にとっては動物たちです。では、彼らのストレスはどう解消されるのでしょう。
そう、人間の愛情です。特に犬は太古から人間と繋がりを密接にしてきたため、人間がいなければ生きていけません。そうは言っても、人間の「愛情」がオールマイティの万能薬かと問われればそうでもなく、病気になることもあります。その際には適切な治療が必要です。
また、病状に応じて「再生医療」という方法もあります。
脂肪細胞を特殊に培養すると、間葉系の細胞(骨、軟骨、脂肪、血管、筋肉、結合組織など)に分化する細胞を得ることが出来、培養した脂肪細胞を使って変形性関節炎、下肢静脈瘤の治療に使用することが出来ます。わたし達の医療としても再生医療は最も関心の集まる分野であり、これは動物にも応用して使うことが可能なのです。培養細胞を使った治療は、炎症を抑える作用が非常に強いため、犬の関節や膝に直接打つことで、足を引きずらないで歩けるようになったという報告が多くあります。

これから先も、共に幸せに生きてゆくために

獣医として長年に渡り、さまざまな飼い主さんと接していますと、当然のことながら、お別れもやって来ます。
「高齢になったから」「次のコをお迎えしたけれど、最期まで一緒に居られるか分からない」「自分が先に逝ってしまった場合、このコがどうなるのか心配」などと言ったお声をよく伺います。
先にも申しましたように、生き物を飼うことは、年齢を重ねてゆくわたし達、高齢になってこそ必要なのです。
だからといって、人間の都合で動物を悲しませたくない、そう思われている方がほとんどでしょう。
そこでわたし達は、「ペット相続システム」を考案しています。これは、ご本人(動物たち)、保護者さま、動物病院、生命保険信託会社、飼育監査組織、オーナーマッチング組織(里親を探す)などを介して、もしも保護者様がお亡くなりになっても、「そのコ」(動物たち)」がこれから先も幸せに生き続けていられるシステムです。
継いで引き受けて(飼い続けて)くれる人がいるのならば、高齢になられた保護者様も安心して動物を飼うことが出来ます。これは、動物にとっても必要な要件で、ペットも人間との共存が要なのです。
「そのコ」が、そのまた先も、幸せに暮らせるよう、「そのコ」(ペット)を相続し、その遺志を引き継ぐ後見人や里親、適切に飼われているか管理する体制が整えば、年齢を気にせず、共に暮らすことが出来、そのコが最期まで幸せに暮らせるよう環境を整えられる。人間にとっても、動物たちにとっても、「優しい」関係を構築する。わたし達は、考え続けます。

※上記記事は2025年3月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

 

新横浜動物医療センター 五十嵐 眞一 院長(獣医学博士) (SHINICHI IGARASHI)

新横浜動物医療センター 五十嵐 眞一 院長(獣医学博士) (SHINICHI IGARASHI)

  • 出身地 :横浜市鶴見区
  • 趣味 :ゴルフ、愛犬(トイプードル)の世話
  • 好きな音楽 :クラシック、J-POP
  • 好きな場所 :温泉(加仁湯温泉、乳頭温泉)
  • 好きな作家 :遠藤周作、村上春樹、司馬遼太郎
  • 好きな映画、ミュージカル:「サウンドオブミュージック」「南太平洋」「ウィキッド」「キャッツ」
  • 好きな言葉 :「諦めなきゃ失敗はない」

INFORMATION

新横浜動物医療センター

電話 045-947-3191
所在地篠原町2805
最寄駅新横浜駅 徒歩6分、菊名駅 徒歩12分、岸根公園駅 約1.6km
営業時間9:00~12:00 15:00~19:00
(受付時間/9:00~11:30 15:00~18:30)
※トリミング・ペットホテルをご利用の方はご予約ください。(当日予約可)
※診療受付時間を過ぎた場合の受付は、時間外診療の費用がかかる事がございます。予めご了承ください。
定休日木曜・日曜・祝日
診療科目 動物病院