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大野 晋 院長(大野歯科医院)のインタビュー

大野歯科医院 大野 晋 院長

大野歯科医院 大野 晋 院長 (SUSUMU OHNO)

『日本歯科大学』卒業。横浜市中区の診療所で4年間勤務後、鶴見区の父が開業した『大野歯科医院』に入局し、その後継承。地元小学校校医として30年近く地域医療に携わる。(JR鶴見線 鶴見小野 徒歩8分)

当初は電子工学がやりたかった。「手先の器用さ」が導いた天職

実は私、歯科医師になる予定ではありませんでした。昭和の時代、ソニーが花形企業だった頃、もともと細かい作業が好きだった私は、工学部で電子工学を学びたいと考えていたんです。ところが父から「手先が器用だから」と言われ続け、気づいたら誘導されるように歯科医師の道へ(笑)。飯田橋にある『日本歯科大学』を卒業することになりました。でも今思えば、歯科医師という仕事は医師でありながら指先の細かい作業を伴う技術職。人を治す治療に携わりながら、好きな手仕事もできる。自分に合っていたのかもしれません。卒業後は横浜市中区の大きな診療所で4から5年ほど勉強し、その後父のもとに戻って一緒に4年ほど診療を行いました。実は妻も歯科衛生士として、私より先に父の診療を手伝っていたんです。当時は受付や裏方の仕事が中心でしたが、私が入ってからは歯科衛生士とチームで仕事をするスタイルに変えていきました。息子も同じ『日本歯科大学』を卒業し、現在は大学病院の医局員として働きながら、週に2回くらいのペースでここを手伝いに来てくれています。息子にも「歯科医師になれ」と言ったことはありません。でもやはり手先を使う作業を好むようで、この仕事に向いているのでしょう。父から継いだこの医院を家族と地域の皆さんと共に歩んでおります。

「患者様」とは呼ばない理由。共にゴールを目指す信念

私は患者さんを「患者様」とは呼びません。それは「一緒に治そう」という気持ちが強いからです。わざわざ頼って来てくださったのですから、共にゴールを目指したい。そう考えています。歯科医療は医師と違って、自ら手を下さなければ結果が出ない分野です。患者さんの話を聞くだけでなく、実際にグローブをして、唾液や血に触れながら処置をする。そうして初めて解決に向かいます。父の仕事を見ていて、その厳しさを肌で感じました。昭和の時代は、患者さんが良くなると自然に「おかげさまで」という言葉が出てきました。今は「お金を払っているのだから良くなって当たり前」という風潮もあります。でも、それでも「楽になった」「噛めるようになった」と喜んでいただけると、やりがいを感じるんです。昔の歯科医師は厳しい面もありましたが、患者さんとの信頼関係がしっかりありました。どちらの世代がいい悪いということでなく、どの世代も患者さんへ最善を尽くす。昔と今とを融合させて歯科医療は発展していっているなと感じています。

「1時間待ちます」と言ってくれる患者さんたちと予約制をとらない理由

実は当院は、あえて予約制をとっていません。これは父の代からのスタイルです。私は勤務医時代に予約制で慣れていたので、最初はやりづらさもありました。でもここの患者さんは「ここで診てもらいたいから待つ」という方ばかり。1時間待ってでも来院される方や、受付をしてから買い物や他の用事を済ませて戻ってくる。そんなスタイルが定着しています。定期検診のハガキも出しません。一人ひとりに時間をかけて診たいから、予約枠に縛られたくないんです。納得いくまで向き合う。順番を待てば必ず診てもらえるという安心感が、この地域の方々との信頼関係につながっていると感じています。このスタイルは地域性にもマッチしています。ドック入りしている船員さんが「1ヶ月の間に毎日通いたい」と言ってくれたり、タクシーの運転手さんが「空いた時間に診てほしい」と来てくれたり。地域の皆さんのライフスタイルに寄り添った診療が、当院の特徴だと思っています。

「どこへ行ってもダメだった」入れ歯を治す保険診療へのこだわり

義歯、つまり入れ歯の治療には特に力を入れています。難しい症例も含め、可能な限り保険診療の範囲内でしっかり噛めるように回復させる。それを心がけています。入れ歯作りで最も重要なのは「型取り」です。患者さんの顎にそっくりな模型を作る工程。教科書通りの「美しい入れ歯」が、必ずしも「食べやすい入れ歯」とは限りません。かつての自分の歯並びや、顎の痩せ方は一人ひとり違います。経験を活かして、その人の生活に馴染む入れ歯を作る。これが難しいですが、面白いところでもあるんです。日本の国民皆保険制度は素晴らしい社会保障です。まずは保険の範囲内で最大限の提供をする。さらに贅沢な材料ややり方を望まれる方には、それに応える。それが当院のやり方です。以前、どこへ行っても痛くて使えなかった入れ歯に苦しんでいた患者さんがいました。試行錯誤の末、当院で作った入れ歯で食べられるようになって、「おかげさまで」と報告してくれた時。本当に歯科医師冥利に尽きる喜びを感じました。

商店街とともに70年

私はもうすぐ65歳になります。この医院をさらに大きく発展させようといった欲はありません。この裏通りの小さな歯医者でいいんです。鶴見の潮田地域は、かつて京浜工業地帯として夜通し工場が稼働し、銭湯帰りのお客さんがそのまま治療に来るような、活気に満ちた街でした。工場の移転などで街の様子は変わりましたが、私は生まれ育ったこの場所が大好きです。たしかに大きな商業ビルに行けば何でも揃う時代です。でも、昔ながらの商店街に八百屋さんや肉屋さんがあって、同じ通りには内科も歯科もある。そんな「商店街の一部としての医院」であり続けたい。地域の歴史を大切にしながら、最後までここでやっていきたいと考えています。当院の建物は、昭和32年の木造から始まり、今の建物は平成3年に建て直した3代目です。来年で開業70周年を迎えます。鶴見は横浜市内で最初にできた区の一つで歴史が古く、昭和の時代には素晴らしい大御所の先生方がたくさんいらっしゃいました。私はそうした先生方の背中を見て育ちました。今でも、かつて商店を営んでいた方々が通ってくださって、昔話をすることがあります。ホームページには「頑張れ本町通商店街」という昔のマップを載せているほど、この町への愛着があるんです。地元の小学校の校医も30年近く務めており、子供たちの成長や街の移り変わりを見守ってきました。やれるところまで、この街でしっかり診療を続けていきたいです。

 

※上記記事は2026年1月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

 

 

大野歯科医院 大野 晋 院長 (SUSUMU OHNO)

大野歯科医院 大野 晋 院長 (SUSUMU OHNO)

  • 出身地:神奈川県横浜市
  • 趣味:乗り物全般
  • 好きな場所:温かい場所
  • 好きな音楽:BGM
  • 好きな映画:アクション映画
  • 好きな本:乗り物関連の書籍
  • 好きな言葉:『継続は力なり!!』『日々精進』

INFORMATION

大野歯科医院

電話 045-501-7802
所在地本町通3-168-13
最寄駅鶴見小野駅 徒歩6分、国道駅 徒歩10分、弁天橋駅 徒歩11分
診療時間[月・火・水・金・土]9:00~12:00 14:00~18:30
休診日木曜・日曜・祝日
支払方法現金
診療科目 歯科 矯正歯科 小児歯科