岡田歯科医院 岡田 豊 院長 (YUTAKA OKADA)
『日本大学歯学部』卒業後、父の友人の医院で3年間研鑽を積む。その後、父の開業した『岡田歯科医院』で共に従事。その後1938年から続く医院を継承し今に至る。(JR鶴見駅西口 バス 下末吉国道際 徒歩1分)
代々受け継がれる医療への想い

『日本大学歯学部』を卒業後、父の友人の医院で3年間働き、その後、父と一緒にこの鶴見で『岡田歯科医院』にて従事しはじめました。建物は建て直していますが、元々は昭和13年頃に父が開業した医院を継いだ形です。トータルで言えば80年以上の歴史があります。一番古い記憶では、医院は通りの向こう側にありました。それからこちらに移り、今の建物を建て直す際に一度仮店舗へ移転しましたが、最終的に現在の場所へ戻って20数年になります。そもそも歯科医師を目指したきっかけは、父の影響が大きいですね。ただ、正直なところ高校生の頃は考古学がやりたかったんです。エジプトや地中海で何かを見つけたいという漠然とした憧れがありました。しかし、ずっと日本を離れるのはまずいかなと考え直しました。また、自分の性格上、会社勤めは絶対に無理だという自覚がありました(笑)。白い物を黒いと言えと命令されることには従えない性格なので、独立して仕事ができる道を選んだのです。たまたまそこに父の跡を継ぐという選択肢があったということです。今となっては、自分のライフスタイルに合うこの道を選んでよかったと思っています。
ストレスが歯を失う原因であることに注目
歯科の奥深さと興味深さを思い返すと、最近になってストレスが原因で歯を失うということが一般的にも分かってきたことが挙げられます。私が学生時代にはあまり研究されていなかった分野でした。昔は虫歯や歯周病(衛生環境)だけが原因だと思われていましたが、非常に綺麗に磨いているのに奥歯を失う患者さんがいらっしゃいます。原因を調べていくと、精神的・心理的なストレスを発散するために、夜間に無意識に食いしばりや歯ぎしりをしていることが大きいと気づきました。女性の場合は、嫁姑問題や家族、子供との人間関係。男性の場合は、やりたくない仕事や職場での人間関係、上司との摩擦などが主な要因です。「歯が痛い」と言って来院されても、お口の中には何の問題もない場合があります。親しくなって心を開いてもらえると、介護の話や仕事の悩みなど、背景が見えてくるのです。私は、ストレスこそが歯を失うもう一つの大きな原因だと考えており、そこへのアプローチを中心に取り組んでいます。
患者さんとの信頼関係が治療の鍵

ストレスが原因の症状に対しては、患者さんとの信頼関係が何より重要になります。踏み込みすぎないようにしながら、何回かお話しして信頼関係を築くことが大切です。原因がストレスだと理解してもらえないと、マウスピース(スプリント)などの装置をいくら勧めても使ってもらえません。自分の知らない、意識していないところ(睡眠中の食いしばりなど)が原因であると想像し、理解してもらうには、患者さん側の理解も必要です。ただ削って詰めるだけなら誰でもできますが、気づいていない原因を説明し、納得してもらう。そして実際に痛みが取れた、歯の動きが止まったと実感してもらえるところに、この仕事の難しさと面白さがあります。この地域は高齢の方が多く、50代から70代、あるいは私の父の代から親子数代で通ってくださる方が中心です。そのため、最新技術をどんどん取り入れるというよりは、入れ歯が合わないといった昔ながらのお悩みにしっかり応えることを大切にしています。
患者さんとの心温まる思い出
これまでで印象に残っている患者さんについて、忘れられないエピソードがあります。先天的な病気で数年以内に失明してしまうという、元空手選手の男性がいました。彼は、鍼灸師になるために勉強を始めたのですが、学術書を買うことに苦労していたのです。そこで、私が学生時代に使っていた古い医学書を貸してあげました。2年ほどして、彼は無事に合格したと報告に来てくれました。その時にお礼としてワインを持ってきてくれたのですが、決して高価なものではなかったかもしれません。でも、彼の素直で心からの感謝の気持ちが伝わってきて、今まで飲んだお酒の中で一番美味しいと感じ、深く感動しました。
これからも地域の皆様と共に
もう70歳を過ぎましたので、このまま静かに続けていければと思っています。患者さんから「先生が引退すると困る。私が死ぬまで食べられるようにしてくれ」と言われることがあり、それが励みになっています。頼りにされている限りは、もうちょっと頑張ろうという気持ちになりますね。
地域の方へのメッセージとしては、やはりストレスで歯をダメにする人が多いということを知ってほしいです。これは決して高額な治療ではなく、意識するだけで将来も自分の歯で噛めるかどうかに関わってきます。もちろん、全ての患者さんと波長が合うわけではありませんし、全員を助けることは難しいかもしれません。でも、私を信頼してくださる方には、私が生きている限り責任を持って助けたいと思っています。80年以上の歴史を持ちながらも、常に患者さんの心に寄り添い続ける当院。これからも鶴見の地域医療を支える存在として、多くの方々の健康を守り続けていきます。
※上記記事は2026年1月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

岡田歯科医院 岡田 豊 院長 (YUTAKA OKADA)
岡田歯科医院 岡田 豊 院長 (YUTAKA OKADA)
- 出身地:神奈川県横浜市
- 趣味:飛行機模型の製作、戦史研究
- 好きな場所:京都のいつものカウンター席
- 好きな音楽:ジャズ、ピアノトリオの演奏
- 好きな映画:クライムサスペンス
- 好きな言葉:「この世の中はどれだけ努力しても報われないことはたくさんある。けれど、自分自身が勉強したことは自分を裏切らない」

