「愛誠」歯科 加藤 喜夫 院長 (YOSHIO KATO)
神奈川歯科大学 卒業。神奈川県内歯科医院 勤務を経て、1973年に『「愛誠」歯科』院長に就任(JR横浜線/横浜市営地下鉄「中山駅」より徒歩8分)。
農家の九男から歯科医師に、そして

私は秋田の農家に生まれた九男坊です。兄たちは皆それぞれの道に進み、実家には両親と長兄が残りました。末っ子の私は「好きなことをやりなさい」と言われ、将来を自由に考えさせてもらえる立場でした。ですから、高校も自分の希望を通し、親を説得して地元でも評判の高校へ進みました。通学に1時間半ほどかかり、冬は下宿もさせてもらいました。親は大変だったでしょうね。そこから神奈川歯科大学へと進んだわけですが、親戚に歯科技工士をしている者がいて、その影響もいくらかあって、「歯医者でもやってみるか」という気持ちになったのが始まりです。神奈川歯科大学は当時は新設間もない大学で、何もかもがこれから整っていく時代でした。クラブも伝統もこれから作る。そういう空気の中で過ごせたことは、今思えば貴重な経験でした。
卒業後は一時大学に残りましたが、勉強一辺倒の生活よりも臨床の現場に出たいという思いが次第に強くなり、ご縁があって関内の「愛誠歯科」に勤め、その後、中山の分院を任されることになりました。それが現在の『「愛誠」歯科』の興りであり、昭和48年からこの地で診療を続け、やがて医院を引き継ぎました。土地を探して一から建てるよりも、ここならすぐ診療ができる。それが決め手でした。
現在の建物は、設計をしている患者さんが「好きにやらせて」と言って手がけてくれたものです。歯科医院らしくない外観かもしれませんが、私にとっても思い入れのある建物です。
患者さんとともに歳を重ねるということ
診療を始めて50年以上になります。今通ってくださっている方の多くは、私と同じように年齢を重ねてきた方々です。若い頃に来られた方が、そのまま通い続け、やがてお子さん、お孫さんを連れてきてくださる。そうしたつながりが自然と生まれてきました。
診療時間は現在、午前と午後の限られた時間帯だけです。以前のように多くの患者さんを診ているわけではありませんが、その分、顔なじみの方々とじっくり向き合う時間が増えました。長い年月の中で、歯だけでなく人生の節目を共有してきたような感覚があります。診療室での会話も含めて、ここは単なる治療の場ではなく、皆さんにとっても生活の一部になっているのだと思います。
治療の先にあるケアを何より大切に

何十年も変わらずお伝えしているのは、「治療よりも、その後のケアの方が長いし大事」ということです。歯を削ったり、かぶせたりする時間は一時です。しかし、その後何十年と使い続けるのは患者さんご自身です。ですから、最後は必ずケアの話をします。今来院されている方のほとんど、9割ほどはメンテナンスです。定期的に来て、清掃をして、状態を確認する。それを続けているからこそ、長い間ご自身の歯で過ごしている方が多いのだと思います。
大学では口腔外科や口腔生化学に在籍していましたが、開業してからは補綴治療が中心になりました。当時、歯科医師で知らぬ者はいない存在だった霞ヶ関の納富歯科で学び、ブリッジや入れ歯など幅広い補綴治療を徹底的に身につけました。やがて教える立場にもなり、後輩たちが当院で経験を積む時期もありました。
時代が変わり、むし歯は減り、今は歯周病と予防が中心です。だからこそ、削るより守る。その考えが、よりはっきりしてきました。
これからも、この場所で、できることを
今後について、壮大な計画があるわけではありません。ただ、この建物と地域との関係は大切にしたいと思っています。現在、娘が矯正歯科医として活動しており、必要に応じて当院でも矯正治療を行ってくれています。自分の年齢を考えれば、将来のことを整理していく時期ではあります。ただ、「もう終わり」と区切る気持ちにはなかなかなれません。と言いますのも、ここまで続けてこられたのは、通ってくださる患者さんがいたからです。大きく広げるよりも、今ある信頼関係を守ること。それが私にとって自然な形です。
地域のみなさんへメッセージ
歯医者というと、削る、抜く、痛い、というイメージがあるかもしれません。でも本来は、歯を守るために通う場所です。繰り返しになりますが、私は毎日のように、「治療よりもケアのほうが大事なんですよ」とお話ししています。悪くなってからではなく、悪くならないために来ていただきたい。そうすれば、歯は長く持ちます。
診療室で並んで話をしながら、口腔ケアをして、少し世間話をして帰る。そんな時間があってもいいと思っています。歯科医院が、少しでも気軽で、安心できる場所になれば嬉しいですね。削る場所ではなく、守る場所へ。これからも地域の皆さんと一緒に、穏やかに歳を重ねていければと思っています。
※上記記事は2026年2月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

「愛誠」歯科 加藤 喜夫 院長 (YOSHIO KATO)
「愛誠」歯科 加藤 喜夫 院長 (YOSHIO KATO)
- 出身地:秋田県
- 趣味・特技:ゴルフ
- 好きな本:小説(井上靖など)
- 好きな映画:『ローマの休日』
- 好きな音楽:グループ・サウンズ
- 好きな観光地:北海道

