石塚 亨 院長(いしづか歯科医院)のインタビュー

いしづか歯科医院 石塚 亨 院長

いしづか歯科医院 石塚 亨 院長 (TOHRU ISHIZUKA)

『日本大学歯学部』卒業後、冠橋義歯講座に入局し総義歯を専攻。1988年4月に現在の場所にていしづか歯科医院を開業し今に至る。(JR京浜東北・根岸線「鶴見駅」より徒歩20分)

食べることの喜びを支えたい、総義歯への情熱

歯科医師を志したきっかけは、幼い頃の経験でした。私自身が喘息を患い、母におぶられて通った近所の医院の先生に憧れを抱いていたのです。それから喘息の患者の子供を治したいとも大志を抱きましたが、高校生ぐらいになると、祖母の入れ歯がガタガタ音がするようになり、何とかならないか、また、両親の歯も無くなっていき、手を動かす仕事の適性も感じ、『日本大学歯学部』へ進学。弟も矯正歯科の道を選び、兄弟で歯科医療の世界に進むことになりました。大学卒業後は、冠橋義歯(クラウンブリッジ)を専門とする講座に入局。そこの教授が総義歯の名手で、その技術を学びたいと臨床実習に励みました。なぜ総義歯に魅力を感じたのか。それは「人間にとって食べることが命だから」という、シンプルで深い理由からです。
口から入る食べ物が体の成長を促し、生命を維持し、長生きを支える。そのために歯は不可欠です。特に総義歯の患者さんは噛むものがない状態ですから、義手や義足、義眼とは違い、総義歯はまさに日々の生活で役立つもの。患者さんがよりよく食べられて「美味しいな」と感じてもらえることが、私にとって何よりの喜びです。

世界初の咬合器開発、研究者としての歩み

2010年頃、私は研究のために放射線科へ移りました。そこから顎関節症科も兼務し、ある研究に取り組むことになります。それが「個人の患者さんの顎関節を再現した咬合器」の開発でした。東京の特許事務所の方とやり取りを重ね、この装置を完成させたのです。この咬合器の最大の特徴は、患者さん一人ひとりの顎の関節を寸法通りに再現できること。左右の顎関節は完全に対称ではなく、骨の形も個人差があります。凹んでいたり、ボコンとした形があったり。そうした個人の形態を正確に再現し、理想的な噛み合わせを作り出せる。顎関節に負担をかけない、患者さんに優しい噛み合わせの実現を目指しました。
この開発には、私を放射線科に呼んでくださった教授の存在が大きく影響しています。この教授は世界で初めて歯科用CTを開発された方で、特許を多くお持ちの先生でした。歯科用CTの登場によってインプラント治療が飛躍的に発展したという経緯があります。CTなしではインプラント治療は成立しなかったでしょう。そうしたCTを活用して研究ができたことは、大きな喜びでした。最終的には4ヶ国で特許を取得できました。
現在、この咬合器は世界でこの1台のみ。この器具が皆さんのために活躍することを願っています。大学では65歳で退官という形になりましたが、70歳の3月まで在籍予定。学生を教えることができたのが、教員生活で一番大きな経験だったと感じています。

噛み合わせ調整へのこだわり、歯科医師にしかできない仕事

1988年に開業して以来、日々の診療で心がけていることがあります。それは患者さんの話をよく聞くこと、そして噛み合わせの調整を徹底すること。噛み合わせの調整は、しつこいくらいに行います。横になっている時と起き上がった時で噛み合わせが微妙に違う場合があるため、その点に注意しながら調整を重ねるのです。これは医師にはできない、歯科医師に特化した仕事といえます。患者さんが「これでいいかも」と思っても、どこか高い部分があったり、同時に当たっていなかったり、側方運動の時の噛み合わせに問題があったりする。特に総義歯の場合、横に動かした時に転覆してしまうことがあります。一人ひとりに顎の角度があり、横に動かすと片側は急で、もう片側はなだらかといった違いがあるのです。そうした細かな点を理解し、調整していくことが重要だと考えています。

患者さんに育てられた、成長の軌跡

長年診療を続ける中で、印象に残っている患者さんがいます。口は悪いけれど神経質で、ちょっと面倒なところはあるけれど根は悪くない方でした。「バネなし入れ歯」を作ったのですが、「痛い」「変だ」「噛み合わせが合わない」と言われ、結局3、4回作り直しました。もちろん費用はいただかず、とにかく納得していただけるまで調整を続けたのです。この患者さんに、私は大きく成長させられました。「これぐらい我慢しなさい」と言う歯科医師もいるかもしれませんが、義歯に関してはそうなりたくありません。義歯は痛くて当たり前、最初からうまくいく人は100人に1人くらいかもしれない。だからこそ、患者さんが納得するまで調整することが大事なのです。
痛くなくなって「ありがとうございました」と言っていただけた時、「あれから何ともない」と報告してくださった時の喜びは格別。あれほど訴えていた方の表情がパッと明るくなる瞬間が、歯科医師としての何よりのやりがいです。患者さんとの距離感も大切にしています。深く身の上話に立ち入ることはできないし、関与するのは相手のご家族にとっても負担かもしれません。適度な距離を保ちながらも、良い関係性で寄り添っていければと思っています。

地域に根ざした歯科医院として、これからも

当院には女性スタッフが3人と、バイトで来てくださる先生が2人います。スタッフは皆15年以上勤めてくださっており、地域の方々です。自宅が近いため、お昼には自宅に帰って食事をしたり、犬の散歩をしたりして、また午後から来てくれています。グループLINEで連絡を取り合い、私よりも患者さんのことをよく知っているスタッフもいて、とても頼りになる存在です。この地域は成熟した住宅街で、年配の患者さんが多い傾向があります。地元の方や、私の親をよく知っている方なども来院されます。
患者さんの悩みで多いのは歯周病と磨き方について。学校医として小学校や幼稚園・保育園に行っていますが、虫歯は昔より減ってきています。一方で、正しい磨き方を知らない方は大人でも多いのです。磨き方については、子供の場合は「1、2、3、4」と数えながら、大人の場合は1本ずつずらして10回ずつなど、回数を決めてもらうようにしています。時間をかければいいというものではなく、磨きすぎると歯が削れてしまったり、歯肉に引っ掻き傷のような跡ができてしまうことも。
定期的に来院していただき、超音波で歯石を取ったり、歯と歯肉の間を綺麗にお掃除することが大切です。最初は痛くても、続けていけば痛くなくなっていきます。私も年齢を重ねてきましたが、患者さんが来やすい雰囲気づくりや環境整備を心がけています。この地域の患者さんに対して、子供さんからお年寄りまで幅広くケアできる歯科医院でありたい。それが私の願いです。食べることの喜びを支え、患者さん一人ひとりに寄り添った歯科医療を、これからも提供していきたいと思っています。

 

 

※上記記事は2026年2月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

 

いしづか歯科医院 石塚 亨 院長 (TOHRU ISHIZUKA)

いしづか歯科医院 石塚 亨 院長 (TOHRU ISHIZUKA)

  • 出身地:横浜市鶴見区
  • 趣味:絵を描くこと
  • 好きな場所:元町
  • 好きな音楽:ロック、フォーク
  • 好きな映画:ジブリ、横浜が主題の映画
  • 好きな本:時代小説
  • 好きな言葉:『日々是感謝』

INFORMATION

電話 045-583-2057
所在地下末吉5-19-34
最寄駅鶴見駅 約1.7km、鶴見市場駅 約1.9km、京急鶴見駅 約1.9km
診療時間[月・火・水・金]9:30~12:30 14:30~19:00
[土]9:30~12:30
休診日木曜・日曜・祝日
支払方法現金
診療科目 歯科 矯正歯科 小児歯科 歯科口腔外科